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7月は観光シーズンですので、ようやくシンギギもツーリストで賑わい出し、人気レストランは満席という状況にもなっています。ただし、日本人は相変わらず少なく、理由の一つにバリからロンボクへの便が日本から予約しにくいということがあるようです。どうしても日程が合わず宿泊予約をキャンセルしたお客さんも何組が出ました。
今月は4人の日本人客といっしょに東ロンボクの織物の村プリンガセラへ出かけました。にこやかに迎えてくれるのは織り元のマリキ氏。天然染料の研究に熱心に取り組み、その実直な仕事ぶりが買われて今や州の代表としてインドネシア各地に染色指導に出かけるマリキとはかれこれ8年のつきあいになります。 今回の我々の訪問の目玉は、織物もさることながら、なかなか見るチャンスのなかった椰子油製造の工程を見学することでした。 何年か前にうちからマリキのところに行ったお客さんが偶然彼の家で油を作っているところを見て、珍しいものを見せてもらったといたく感激していました。マリキの家ばかりでなく、その村の人たちはほとんど市販の調理油は買わずに自家製のものを使っているそうです。より都会化したロンボク西部では、もう自分の家で油をつくる人はごく少数派です。マリキの家では大体月に一度ぐらいの割で作るそうですが、なかなかこちらから行く日がその日に当たることはなく、見たという人の話を聞いてもどうも理解できず、「百聞は一見にしかず」で一度この目で見てみたいものだとマリキに話したら、私たちの予定にあわせて特別に作って見せてくれることになったのです。 車で2時間はたっぷりかかるプリンガセラに到着したのは午前11時近く。すでに椰子の実は削って容器に入れてありました。油をとるのに使うココナツは古いものを使います。洗濯板のような形の金属製の削り器で実を削る作業は大変なものですが、ここではすべて手で行い、機会を使うと味が落ちると言います。この削った実に熱湯と水を加え、両手でぐっと絞ってさらにふるいにかけて濾し、かすを取り出した乳色の液体をなべでぐつぐつとかなり長く煮ます。この時の燃料は木でなければならないそうで、この時はコーヒーの木からとった薪を使っていました。ちなみにかすは魚や鶏のえさにしたり、床を磨くのに使います。 火からおろした鍋を30分ほど放置すると液体は分離し、下は水、上はいわゆる「ココナツミルク」と椰子油との混じったものになります。この上の油分をおたまで掬い出し、それを攪拌しながらぐつぐつと煮詰めると次第にもったりしてきて油と油かすに分かれていきました。こうして取れたものが椰子油で、ほんの少し黄色がかった色をしています。油かすは挽肉のそぼろのような見た目で、お菓子としてそのまま食べたり、野菜や豆腐につけて食べるたれとして使います。たれの作り方は、油かすを塩とにんにくですりつぶしてペースト状にするというもの。 このあとココナツづくしの昼食をごちそうになりました。油をとる前に下に沈んだ水(といってもやはり乳白色をしています)で煮たマンジョカ芋をいただきましたが、ほのかに甘く香高い、夢のようなおいしさでした。 捨てるところなく最後の最後まで使える椰子は、実も木も本当に南の国のすぐれものです。 この日使ったココナツは10個。とれた油は700mlほどで、2組のお客さんと私とで三等分しましたが、200mlちょっとのその油をまさか揚げ物に使うことはできず、炒めものにももったいない、やはりマッサージオイルとして使うのが一番いいのでは、ということで意見が一致しました。髪につけると抜け毛を防ぎ、いつまでも黒くつややかな髪でいられるとのことで、もう手遅れかもしれませんが、最近とみに白いものがまじり始めたわが「元黒髪」にもつけてみました。手にとると椿油ほど重くなく、ちょっと匂いが気になりますがするっとなめらかな感触です。翌朝、櫛どおりがあまりにもよくなっているのに驚きました。 昔はみんなこれを髪や肌に塗っていたとのこと。それで80歳近いおばあさんでも白髪がなくて髪の黒々としている人が多いのかと合点がいきました。エッセンシャルオイルを混ぜてキャリアオイルとしても使っていますが、この自然の油は最長で一ヶ月しかもたないそうなので、あまりけちけちともできません。 帰り際、油とごちそうのお礼にいくばくかのお金をおいていきましたが、この日の労力を日本の人件費の相場から計算したらいったいいくらになるのかと考えてしまいました。 今までコーヒー作りやお菓子作りにも挑戦してみましたが、すべて手作業の工程に肩は凝るわ腕は痛いわですぐに音を上げてしまい、自分の無力さを思い知らされたものです。 便利な道具や機械があってもあえてそれを使わない、その方がおいしいから、というのがここの人たちの価値観のようです。 |
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Bungalow Batu Layar (帆石亭) 黒野
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