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8月は7月に続き観光シーズンのピークですが、ロンボクへのお客さんの入りは今ひとつです。「バリはあんなに賑わっているのになぜ?」と皆さん首をかしげます。去年、8月にバリに行った時は閑古鳥が鳴いていてびっくりしましたが、今年は盛り返し、ウブドもクタと同じぐらい盛況で外国人がゾロゾロ歩いているそうです。でも例年と比べると日本人は少なめだそうです。 バリに住んでいる日本人のお客様が一週間滞在していましたが、「もうバリは魅力ない。古いもの良いものがどんどん破壊されてしまって昔の面影はない」と嘆いていました。観光化が進んで、農業や漁業をする人が少なくなり、新鮮な野菜や魚が手に入りにくくなっているそうです。その点、毎日生き生きした食材が入手できるロンボクは幸せです。もう少しお客さんが増えてほしいと思う反面、バリのようになってほしくないとも思います。 8月17日はインドネシア独立記念日。国民の祝日です。1945年のこの日、スカルノが独立宣言を行い、オランダとの独立戦争を経て4年後にこの独立は国際社会に承認され、翌1950年にインドネシア共和国が正式に成立しました。独立記念日の10日ほど前からいたるところに紅白旗がはためき、子供たちは行進の練習に余念がありません。2日前の8月15日が日本では「終戦記念日」(私が子供の頃は「敗戦記念日」ともいっていました)として物悲しい日なのとは対照的に、インドネシアではこの日は晴れやかな喜ばしい日です。 ただ、この「独立」が日本の占領からの独立だったこと、それ以前には長きにわたってインドネシアはオランダの支配を受けていたことを全く知らない日本の若い人が多いことには驚きます。知識のあるなし、学校で習った習わなかったは別として、自分が遊びに行く国のことぐらいは事前に調べておいてほしいものです。 かくいう私も学生時代は歴史が嫌いでした。歴史の授業とはただテストのために丸暗記するだけのものだと思っていましたが、歴史が身近なものだと思ったのは、日本語教師として教壇に立つようになってからです。 「私のおじいさんは日本人に殺されました」と言ったフィリピン人の生徒。マルコス大統領失脚の際マラカニアン宮殿付近に居合わせたというフィリピン人生徒。ソ連の侵入により一家でドイツに渡ったアフガン人生徒。文化大革命を両親と共に獄中で過ごし、インテリだった親に読み書きは教わったものの一度も学校に行ったことがなかったという中国人生徒。朝鮮戦争中食べるものがなくて蛙をつかまえて食べていたという韓国人生徒。 みんなが歴史の生き証人で、歴史とはこんなにも生き生きとした身近なものだったのかと思い知り、それからは歴史や社会学の本を読むようになりました。 日本語を教えるために南米に渡ってからは中南米の歴史を学び、日本人移住者の歴史を学び、移住者の中でも特に多かった沖縄の歴史を学びました。 ボリビアに赴任後通ったスペイン語のクラスにはベトナム、レバノン、アメリカ合衆国、フランス、ドイツ、インドなど様々な国からの生徒がいて、お互いの国の歴史や風土について語り合いました。 インドネシアに住むようになってからも、キプロスやリトアニアなどそれまで出会ったことのなかった国の人と知り合い、色々な珍しい話を聞くことができました。人生の大半を旅に費やしている現代のマルコポーロのようなイタリア人が帆石亭に二度も寄ってくれて、行った先々で様々な歴史的事件に遭遇した逸話を語ってくれたこともあります。 私は今、こちらの高校の教科書でインドネシアの歴史を勉強しています。実はこの本は5年ほど前に買って読み始めたのですが、当時はまだインドネシア語の語彙が少なすぎてしょっちゅう辞書を引いていなければならず、飽きてしまって放り出してあったものです。最近になって引っ張り出して読んでみると前よりは楽に読めるので暇な時にゆっくり読んでいます。 読んでいくうちに、インドネシアと日本の共通点や相違点がわかってきました。 日本が大国中国の「周辺国家」なのに対し、インドネシアは大国インドの「周辺国家」で(そもそも「インドネシア」とはギリシア語で「島のインド」の意味)、紀元5世紀ごろにはじめて国と呼べる王朝が成立するところなど似ています。16世紀以降、ポルトガルやオランダが盛んにやってくるようになりますが、日本が西欧の支配を免れたのは17世紀初頭すでに江戸幕府という強力な政府があったからで(家康はペルーの現状を知っていて鎖国に踏み切ったという記述のある歴史書を読んだことがあります)、まだ各地に小国が散らばっていたインドネシアは植民地支配に組み入れられていきますが、このへんは中南米の歴史も同じことで、私はよく考えてみるのです。もう少し時代がずれていたら、日本は、日本人はどうなっていただろうかと。歴史とは、ほんの少しの時差や偶然から次々と生み出されていくものなのですね。 今、この瞬間も私たちは生きている歴史のさなかにいます。 *今月のお客様は日本、インドネシア(ジャワ、バリ)、フランス、アメリカ合衆国、オーストラリアから。 *7年ぶりで5日ほどバリに行っていたイミスが帰ってきて、「バリはものすごく繁栄していた」と驚いていました。新しい建物、新しい車があふれ、交通マナーも以前よりずっと良くなっていたとか。土地の値段は平均でロンボクの5倍にもなっているそうです。 |
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Bungalow Batu Layar (帆石亭) 黒野
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